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「鉄鋼スラグ」という名の、環境の時代の救世主

2014年7月

わずか半年で枯れた沿岸がコンブで一杯に

弊社が手がけたコミュニケーション活動の事例を一つご紹介しましょう。それは鐵鋼スラグ協会様のご依頼で2009年夏から続けているものです。「鉄鋼スラグ」とは、簡単に言えば製鉄に伴う副産物のことです。これは、その成分の特長を活かせば驚くほど環境貢献性の高い製品に生まれ変わらせることができます。
たとえば新日鐵住金は、鉄鋼スラグに含まれる鉄分を活かした鉄鋼スラグ製品を開発し、磯焼けとよばれる海藻類が枯れた沿岸環境を、わずか半年たらずで劇的にコンブだらけにしてしまう魔法のような製品を開発し、話題を集めています。
その詳細は、鐵鋼スラグ協会のホームページをご参照いただきたいのですが、磯焼けの原因は、沿岸の鉄分の不足に起因していることが最近わかってきました。そもそもこの鉄分は、広葉樹の豊かな森林から滲み出る栄養分の中に含まれており、それが河川をつたって海に供給されることでまかなわれてきました。ところがダムや道路などの開発によってそれがままならなくなったのです。 本当は森を回復するところからはじめなければ、沿岸環境の持続的な改善にはならないのですが、このまま放っておくと取り返しのつかないことになるため、鉄鋼スラグの製品が応急手当を果たすこととなったのです。また、鉄鋼スラグはケイカルという米作りの肥料の原料にもなっていることから、土壌改良への活用も期待されています。つまり物理的には、鉄鋼スラグをもとに作られた製品によって山や大地を豊かにし、そこからの栄養分によって沿岸の環境を回復していくことが可能というわけです。その有用性は、まさに自然環境のつながりを象徴するものです。

インフルエンサーたる環境意識層への積極的なアプローチ

そんな鉄鋼スラグ製品の価値を広くアピールするために、弊社では「鉄鋼スラグ製品と海と森」と題したアートコンテストを開催。コンテストに関する告知とともに多くのメディアで「鉄鋼スラグ」という名称の露出を図りました。同時に環境に対する意識が高い読者をもつと思われる雑誌を中心に、積極的に取材誘致活動を展開。「半年で海岸が昆布だらけになる」という事実に対する驚きと、「山と海をつなぐ」というメッセージのわかりやすさに、ダイビング、サーフィン、アウトドアなどの自然環境に関連したメディアが関心を寄せ、多くの記事が生まれることとなりました。
私たちの文明社会は、製鉄なくして存続していくことはできません。製鉄を行なえば鉄鋼スラグは必ず産出されます。年々、環境の悪化が深刻さを増す現代にあって、鉄鋼スラグをいかに処理していくか、いかに有効活用していくかというのは、かなりプライオリティの高い重要な課題なのです。その認識を一人でも多くの人と共有できるよう、きわめて限られた予算ですが、それだけにかえって知恵と工夫をもってコミュニケーション活動を続けています。

Niblick co., ltd.