#01
手間のかかるコミユニケーションが求められる時代

2014年7月

活用できるメディアはたくさんある、という考え方

最近、広告業界では「戦略PR」や「コミュニケーション・デザイン」、「メディア・ニュートラル」といった言葉がブームになっているようです。関連の本を読むと、いずれも「そうだ!」と思わずこぶしに力が入るほど合点がいくものばかりなのですが、あらためて思うのは、今までのコミュニケーションがいかに広告中心にプランされていたのかということです。しかも、誤解を恐れずに言えば、そこで使われてきたメディアはテレビと新聞、そして一部の発行部数の大きな雑誌だけ。なんとも大雑把なものだったという事実は否めません。

「戦略PR」「コミュニケーション・デザイン」というのは、そうしたやり方では効果が認められなくなってきた今、時機を得て提唱された考え方かもしれません。でもそれを声高に言うのは、今までのPRには戦略がなかったこと、コミュニケーションがちゃんと設計されていなかったことを、わざわざ公言しているようなものです。

客観的に見渡してみると、いろいろなメディアがあります。雑誌なんて、こんなにもいろいろなものが出ていたのかと思うほど多岐にわたっています。ラジオだってよくよく聞いてみるとおもしろい番組がたくさんあることに気がつきます。コミュニケーションのデザインの仕方で、意外と小さなメディアのほうが有効かもしれない……。「メディア・ニュートラル」というのも、そんなふうにケースバイケース、様々なメディアを色眼鏡なしで評価してより効果的な使い方を考えるということなのですから、実は至極当然の考え方です。

小さなメディアを活用したコミュニケーションを実現する難しさ

とはいえ、その考え方を実践することはそれほど容易なことではありません。たとえば小さなメディアは概して専門的なメディアだったりします。その特性を活かして使うには純広よりもタイアップが望ましいと考えられますが、それを計画・実現していくにはそれなりの専門知識があったほうがよいでしょう。中途半端な知識では中途半端なメディアリレーションになってしまい、期待通りのコミュニケーションの実現は難しいと思います。そんなことも含め、考え方を提唱したのはいいけれど実際にはとても手間がかかるということが、大手のエージェンシーには頭の痛いところなのではないでしょうか。

コミュニケーションの最終的な落としどころはマスメディアでの広告、となる場合でも、そこに至るコミュニケーションをいかに効率的に運営できるかが、これからのエージェンシーに求められる課題なのではないでしょうか。そしてその役割を担っていくことが弊社のような小さな会社の存在意義なのだと思っています。

Niblick co., ltd.